稲田 マキ (いなだ まき) メゾ・ソプラノ |
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東京生まれ。 伊藤武雄、ニコラ・ルッチ、帆足卓也、磯貝靖洋の各氏に師事。 桐朋学園大学音楽学部演奏学科声楽専攻卒業。 同大学研究科声楽専攻終了。 木下ミュージックスクール講師、二期会会員 |
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【雑誌掲載履歴】 | ||
『季刊オーディオアクセサリー 2008 Summer 129』(音元出版)の特集、 “12人の評論家が選ぶ今季の優秀盤オーディオグレード”で、CD『小さな空』が選ばれました。 ○ 神崎一雄氏推薦CDのうちの1枚 「メゾソプラノの稲田マキが歌う日本歌曲集『小さな空』も魅力的。 コンサート出演へ徒歩で向かう途中、トラックとの交通事故で重傷。 演奏家として「再起不能」のドン底から立ち上がり、歌う。 曲の多くは、ゆっくりめのテンポで歌われる。 それはこうして「いまある」命を、力強く、優しく抱きしめるかのよう。 その演奏を、N&Fのスタッフが自然かつアコースティックなサウンドで収録。 演奏がリアリティをもって眼前に蘇る。」 ○ 福田雅光氏推薦CDのうちの1枚 「日本歌曲集『小さな空』は精彩な洗練されたハープの音色から始まり、 続くメゾソプラノも自然そのもので、生の肉声がそのまま現れているはずだ。 ピアノ伴奏の曲も冴えた広域帯の音色であり、歌をクローズアップする絶妙なバランス。 この種のアルバムでこれほど純粋なクオリティは初めてだ。 A級。録音制作は、エヌ・アンド・エフ。」 |
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『レコード芸術 2008年4月号』(音楽の友社)148頁に、 CD『小さな空』が紹介されました。 「日本歌曲を格式高く、あるいは取り澄まして歌うのとたがい、 ここではぐっとくだけてシャンソン調の鼻にかかった声のフレージングが主導する。 ディナー・ショウなどで恋人同士が聴くのにぴったりの雰囲気。 メゾ・ソプラノの翳りをおびた超えも気安さの演出に一役買い、ワインの喉ごしを スムースにしてくれる・・・・ そんな感じを抱きながら≪朧月夜≫や≪夏の思い出≫から≪さとうきび畑≫に 聴きおよんだとき、おや、と思った。この曲特有の夏の暑くまばゆい陽射しの あっけらかんとした空気感とちがって、さとうきび畑の土と湿り気をおびた根の匂いがする。 さらに≪あめふりくまのこ≫ではしっとりと汗ばんだ母の胸の感触が。 ハープ伴奏つきの≪浜辺の歌≫では、夕陽の沈んでゆく浜辺の長く伸びた影のなかで 過ぎし日を回顧する淋しさと懐かしさが陰翳深く歌い出され、胸に迫ってくるものがある。 ≪小さな空≫では心がゆったりとなごんでくる。なにも音楽は気張って歌うべきものでも、 また聴くべきものでもないと教えられる。フォスターの曲と重なり、あの懐かしい世界に 誘われる。≪くちなし≫までくると、楽曲とはそのなかから自分自身にとってなくてはならない ものを引き出し、それを相手と共感し合うためのうつわだと理解しているのが納得される。 ≪この道≫に到って、自己流に歌いながら、それをエンタテインメントとして聴き手の胸に 訴える道さえ見出している。CDの最後に≪ちいさな空≫のピアノ・パートが収録されている。 意表をつくアイディアだが、もしこのCDの歌の世界に共感することができれば、このピアノ 伴奏に乗って、おのずと自分の歌が口をついて出てくるにちがいない。 歌とは一方的に相手に押しつけて拝聴させるものではない、相手が思わず口を開いて 歌い出したくなるような誘いを含んでいるべきものだ。その願いをこめ、ピアノ・パートを 最後においた意図は共感をもって理解できる。」 喜多尾道冬●Michifuyu Kitao |
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